カバーストーリー: 2008年12月01日
トピック: その他

「Women's Summit Tokyo 2008」開催

女性同士の交流からキャリアづくりのヒントを得る!



企業で働く女性たちのための「Women’s Summit Tokyo 2008」が、10月10日に東京・目黒のNTTデータ駒場研修センターで開かれました。このイベントは、『Managing My Career ~キャリアの歩き方~』をテーマに、各企業の女性社員が一同に集い、仕事の悩みや課題を語り合うことで、より良いキャリアを築き、会社や社会に貢献していくヒントを得ることを目的としています。2007年に日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)主催により始まりましたが、第2回目の今年は、昨年のサミット主旨に共感した株式会社NTTデータ、住友スリーエム株式会社、日産自動車株式会社、日本ヒューレット・パッカード株式会社、株式会社日立製作所の5社、およびNPO法人GEWELによる共同開催となりました。およそ20社から200名の女性社員が参加し、交流を深めました。



ウェルカムメッセージ

10人ずつ20グループに分けられた会場の席を参加者が埋めつくした中で、サミットは10時に開幕しました。まず、日本HP執行役員 人事統括本部長の大月重人氏が挨拶に立ち、ダイバーシティ(diversity)を推進する会社として日本HPが女性の活躍を支援する計画を進めてきたこと、Women’s Summit Tokyo 2007は、その象徴的な取り組みだったことを述べました。また、アンケートでは昨年のサミット参加者の96%が満足しており、「キャリアを考える機会になった」「勇気をもらった」などの感想が多く寄せられたことも披露しました。大月氏は、「今年は“キャリアの歩き方”がテーマ。仕事ができる人でも見えない壁にぶつかるものであり、その壁を克服し、次のステップに進んでいくヒントをつかんでほしい」と参加者にメッセージを伝えました。



基調講演 ~女性はもっと活躍できる!~

基調講演には、NTTデータ代表取締役副社長 執行役員の榎本隆氏が立ちました。榎本氏は、分社化以来、NTTデータが社員数も売上も順調に伸ばし続けてきたこと、最近は海外展開に積極的であることなどを説明。しかし、女性の活用ということではまだ模索中であり、「女性が幸せにキャリアを形成していくにはどんな支援をすればいいのかが、今の私の最大の課題」だと述べました。自分が目をかけ、あと少しで役員になるだろうと期待していた二人の女性部長が辞めてしまった経験から、女性が活躍できる場を広げていくには会社として女性社員をサポートしていくことが大切であると話しました。また、NTTデータでは、女性の活躍を支援する取り組みとして取り入れた、自宅で働くテレワークの制度が社員に定着しつつあることも披露。榎本氏は「こうした取り組みは、女性社員たちが自発的に集まって悩みを話し合う検討会から実現した」ものであり、「会社としての支援を、女性から声を上げて企画していくことも大切」だと言いました。

女性の活躍を重視する榎本氏は、その理由として、アメリカのNTTグループ会社で働くサラ・マーチン氏の存在を挙げました。1996年当時、大赤字を抱えていたその会社に社長として赴任した榎本氏は、たたき上げ社員だったマーチン氏と仕事をします。双方が大激論を交わす日々を過ごしながら、会社のために共に力を尽くし、翌年にはその会社を黒字に転換させました。榎本氏は「サラは仕事に対する情熱が人一倍強く、互いに理解し合えた。その後、私が彼女を社長に抜擢し、現在はその会社のトップとして力を発揮している。ビジネスにおいては何を大切にするかという価値観さえ共有できれば、ジェンダーや国の違いはあまり関係ない。だから、日本の女性ももっと活躍できると思っている」と会場の参加者にエールを送りました。ただし「女性はがんばりすぎてしまうので、無理をし過ぎないことも大切。悩みや苦しみを理解してくれる仲間をつくれば、楽しくキャリア形成できる」とのメッセージも添えました。



デモ・ロールプレイ ~北村さんは何をすべきだったか~

続いて11時からは、女性社員が日々の業務の中で陥りやすい点に気づくことを目的に、デモ・ロールプレイ(寸劇)が実演されました。主人公は、あるメーカーのコーポレートマーケティング部門で働く女性・北村さん。1年前に課長に抜擢され、個性の異なる3人の部下とともに意欲的に仕事に取り組んでいます。目下、部長からオーダーされた会社のイメージアッププロジェクトのために、あるイベントへ出展すべく、企画づくりや外注先とのコスト交渉を進めてきました。実現は目前ながら、まだ予算捻出の問題も抱えた状態です。しかし北村さんは、同じ部門の上司や同僚から必ず協力・理解が得られると信じ、多忙な部下を気遣って一人でプロジェクト実現に向けて取り組んでいきます――。このようなかたちで展開した寸劇は、サミット共催5社の各社社員が演じた手作りの創作劇だったため、参加者にとっては、日頃の業務をリアルに感じさせる内容でした。実演後は、「北村さんは何をすればよかったのか」「北村さんの強み・弱みは何か」などがグループごとに話し合われ、途中、ランチをはさみながら、参加者同士が「気づき」を深めていきました。



パネルディスカッション ~キャリアの歩き方~

午後1時半からは「キャリアの歩き方」をテーマに、各社で活躍するビジネスリーダーと有識者によるパネルディスカッションがスタート。モデレータは、アキレス美知子氏(あおぞら銀行 常務執行役員 人事部長)が務めました。

まず、午前に実演された寸劇に対して、中平優子氏(住友スリーエム 統轄部長)が「(寸劇の主人公には)何を相手から引き出せば自分の仕事が進んでいくかという視点が欠けている」と指摘しました。そこから、人に動いてもらうことの大切さが話し合われ、「自分をどう見せるか、キャリアの見せ方について考えるのも大切」だと守島基博氏(一橋大学大学院商学研究科 教授)が発言しました。吉田俊之氏(日立製作所 関西支社公共情報システム営業部長)は、「困っているときは困っていると素直に見せることも重要」と話し、それを受けてアキレス氏は「周囲の人にどう助けてもらうのか、自分から発信することもキャリア形成につながる」とコメントしました。

続いて、キャリアの転機や、自身が成長する契機となった体験をそれぞれが披露。鳥羽真澄氏(日産自動車 人事部採用グループ主管)は、フランス・ルノー社人事部に出向し、ハンディを負いながら過ごしたときに「私にしかできないことは何かを考え、日産自動車を知っていること、日本の人事に精通していることを強みとして」乗り切ったことを紹介しました。中平氏は、勤めていたコンサルティング会社の上司に怒られたおかげで成長できたと述べましたが、男性上司の立場からは「女性を叱るのは難しい」(吉田氏)との発言も出ました。

女性がキャリアを歩んでいく上での助言としては「困ったときにフランクに相談できる複数のアドバイザーを持つとよい」(吉田氏)、「日々の業務作業に流されず、自分のキャリアを左右するものを優先する時間の使い方、プライオリティのつけ方を考えてみてほしい」(中平氏)、「何でもよいから他人より優れたものを持て」(守島氏)などが挙がりました。最後にアキレス氏は、「プロフェッショナルになってください。そのために、特定の分野・業界において5本の指に入るほどの強みを持つ、その強みを市場価値のある専門性として常に高める、人のネットワークを広げる、この3つを心がけてください」と締めくくりました。



グループディスカッション ~200人による熱い意見交換~

2時40分からは、「Women’s Summit Tokyo」のメインイベントともいえるグループディスカッションへ。この日の基調講演、寸劇、パネルディスカッションを通じて感じたこと、それぞれが得た「キャリアの歩き方」におけるヒントなどを、グループごとに話し合い、結果を発表しました。ファシリテータ役の川合昭子氏(日本HP人事統括本部 人事オペレーション本部 ダイバーシティ・キャリア推進部 担当部長)が、「スタートダッシュ!」「遠慮なく発言を」などと促すも、そのようなかけ声など必要ないほど、参加者は率先して動き、およそ1時間半を熱く意見交換に費やしました。

こうした積極性は結果発表時にも表れ、各グループは先を競って自分たちの意見発表に名乗りを挙げました。「気づき」に関しては、「女性は“怒られない”ことが弱みになっている。そこで上司に自分からフィードバックを求めることが必要」という発表もあれば、「“怒られない”女性ゆえに、萎縮せず発言できることもある。むしろ女性ということを意識することで、会社の雰囲気づくりや活性化に貢献できるのでは」などの意見も挙がりました。ほかに、「自分の応援団を増やしていく。苦手な上司を攻略する」「女性はがんばってしまう人が多いので、無理をしない」「自分の仕事を抱え込む人もいるので、それは避ける」「困っているときは素直に困っていると言う。それと雑談スキルが大切」などもありました。

キャリアの歩き方ということでは、「自分に枠を設けず、だんだんとバーを上げていくべき」「いや、自分の限界を知ることも重要」といった意見から、「いろいろなポケットを持つ」「ときにはリラックスしたり自分を見つめるために“一人合宿”を行う」などが出されました。

先のパネルディスカッションに参加したパネリストからは、グループディスカッションと発表の感想として「ジェンダーに関係なく、仲間として皆さんと一緒に仕事ができそう」(吉田氏)、「私自身もエネルギーをもらった。今日の機会を生かして、ネットワーキングを継続してほしい」(鳥羽氏)、「(キャリアの歩き方ということでは)目標設定は大切だけれど、パーソナルゴールを決めることが必要。それと無理をしすぎないこと」(アキレス氏)といったコメントがありました。





クロージング

閉会の挨拶には、NTTデータ 人事部ダイバーシティ推進室 課長の中西 円佳氏が立ちました。昨年の「Women’s Summit Tokyo 2007」に参加した中西氏は、自身がこのサミットによって、キャリアや働き方に関して漠然と思っていた中で「気づき」を得たこと、女性同士のネットワークによって背中を押してもらう力をもらったこと、その後さっそく、社内で女性ワークショップを立ち上げたことなどを披露。今日の「気づき」や女性同士のネットワーキングを大切にするとともに「自分の中だけに『気づき』をとどめるのではなく、社内で見えるかたちにしてほしい」と述べました。最後に、来年の継続実施を伝えて、5時半にサミットは終了しました。


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